育児時短就業給付金を受けている、またはこれから受けたい人にとって、転職先でも給付を受けられるのかは大きな不安になりやすいポイントです。
- 育児時短就業給付金が転職先でも支給再開される可能性があるか
- 転職前・内定前後・入社後に確認すべき雇用保険や時短勤務の条件
- 求人票・労働条件通知書・面接で見ておきたい具体的なチェック項目
こんな方におすすめの記事です
- 子育て中に転職を考えていて、時短勤務で働きたい方
- 育児時短就業給付金を受給中、または今後申請予定の会社員の方
- 転職先で雇用保険や勤務時間をどう確認すればよいか不安な方
本記事では、育児時短就業給付金は転職先でも使えるのかを、雇用保険・時短勤務・求人票・面接での確認ポイントに分けてわかりやすく解説します。(制度に詳しくない方でも確認できる内容です)
注:育児時短就業給付金の支給可否は、雇用保険の加入状況、前職での受給状況、賃金の変化、転職先での勤務条件などによって変わります。この記事では一般的な確認ポイントを整理しますが、最終的な扱いは勤務先やハローワークで確認してください。
育児時短就業給付金は転職先でも受けられる可能性がある
結論からいうと、育児時短就業給付金は、転職先でも支給を受けられる可能性があります。ただし、「転職しても必ず受け取れる」という制度ではありません。
厚生労働省は、転職先の事業所で育児時短就業給付金の支給を再開する場合の留意点を公表しています。以前の会社で育児時短就業給付金の受給手続きを行っており、新しい会社で支給を受けられる可能性がある場合、ハローワークから事業主に交付される「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書」に「育児休業等給付受給可」と表示されることがあります。
詳しくは、厚生労働省の転職先の事業所で育児時短就業給付金の支給を再開する場合の留意点で確認できます。
転職先でも支給再開できる可能性はある
転職先で支給再開の対象になり得るのは、主に次のようなケースです。
転職先で確認したい基本条件
- 2歳未満の子を養育している
- 転職先で雇用保険の被保険者になる
- 育児のために所定労働時間を短縮して働く
- 前職で育児時短就業給付金の受給手続きをしていた
- 前職と転職先の間に空白期間がある場合、基本手当等の受給資格決定を受けていない
ここで大事なのは、転職先で働き始めたあとに自動的に給付が再開されるわけではない点です。新しい会社での雇用保険の資格取得、勤務時間、賃金の変化、申請手続きの確認が必要になります。
「育児休業等給付受給可」の表示は重要な確認ポイント
転職先で雇用保険の手続きが行われたとき、「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書」に「育児休業等給付受給可」と表示されることがあります。
この表示は、育児時短就業給付金の支給再開を検討するうえで重要なサインです。ただし、表示があるだけで支給が確定するわけではありません。厚生労働省の資料でも、賃金が低下していない場合などは不支給になることがあるとされています。
⚠️ 「表示あり=必ず支給」ではありません
「育児休業等給付受給可」と表示されても、実際に支給されるかどうかは、子どもの年齢、雇用保険の加入状況、時短勤務の実態、賃金低下の有無、申請内容などで判断されます。
転職しても必ず受け取れるとは限らない
育児時短就業給付金は、子育て中の転職を支える制度の一つですが、どの転職でも必ず使えるわけではありません。たとえば、転職先で雇用保険に加入しない働き方を選んだ場合や、時短勤務による賃金低下が確認できない場合は、支給対象外になる可能性があります。
そのため、転職活動では「給付金が使えるか」だけでなく、転職先の雇用形態、週の所定労働時間、給与条件、時短勤務制度の有無までセットで確認することが大切です。
育児時短就業給付金の基本条件を簡単に確認する
育児時短就業給付金は、育児のために短い時間で働く人の収入減を補うための雇用保険の給付です。制度名は少し難しいですが、まずは「2歳未満の子を育てながら時短勤務をする人向けの給付」と考えると理解しやすくなります。
厚生労働省の育児時短就業給付の内容と支給申請手続では、2025年4月1日から、雇用保険の被保険者が2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して働き、賃金が低下するなど一定の要件を満たす場合に支給を受けられると案内されています。
育児で時短勤務をする人の収入減を補う給付金
育児時短就業給付金は、育児休業から復帰したあとや、育児のために時短勤務をする場合に関係する制度です。育児休業給付金とは別の給付で、短時間で働くことによって賃金が下がるケースを想定しています。
支給額は、原則として「育児時短就業中の各月に支払われた賃金額 × 10%」です。ただし、賃金と給付額の合計が育児時短就業開始時の賃金額を超えないように調整されます。
支給限度額や下限額などの金額は改定されることがあるため、具体的な金額まで確認したい場合は、最新の厚生労働省・ハローワークの案内を確認してください。
対象になるには雇用保険の被保険者であることが前提
育児時短就業給付金は雇用保険の給付なので、転職先で雇用保険の被保険者になることが前提になります。
短時間勤務やパート勤務を選ぶ場合は、特に「週所定労働時間」と「雇用見込み」を確認しましょう。厚生労働省の資料では、雇用保険の適用要件として、1週間の所定労働時間が20時間以上であること、31日以上の雇用見込みがあることが示されています。詳しくは雇用保険の適用範囲に関する厚生労働省資料を確認してください。
短時間勤務制度と給付金は対象年齢が異なる
育児時短就業給付金は、原則として2歳未満の子を養育する人が対象です。一方で、育児・介護休業法上の短時間勤務制度は、3歳に満たない子を養育する労働者に対し、事業主が原則1日6時間の短時間勤務制度を講じる必要があるものです。
つまり、「会社の短時間勤務制度を使えること」と「育児時短就業給付金を受けられること」は、関係はありますが同じではありません。短時間勤務制度については、厚生労働省の短時間勤務等の措置も参考になります。
育児・介護休業法の全体像も確認したい場合は、関連記事の育児・介護休業法改正の全体像はこちらもあわせて確認しておくと、制度の位置づけを整理しやすくなります。
転職前に確認したい雇用保険と前職の受給状況
転職先で育児時短就業給付金を受けられるかを考えるときは、新しい会社の条件だけでなく、前職での受給状況も重要です。
前職で育児時短就業給付金の受給手続きをしていたか確認する
厚生労働省の転職先再開リーフレットでは、以前に育児時短就業給付金の受給手続きを行っており、新たな事業所で支給を受けられる可能性がある場合に、通知書へ「育児休業等給付受給可」と表示されると案内されています。
そのため、転職前に前職の人事・労務担当へ、次の点を確認しておくと安心です。
- 育児時短就業給付金の受給手続きが行われていたか
- 支給決定通知書など、手元に残しておくべき書類があるか
- 時短勤務を開始した日や勤務時間が分かる書類があるか
- 退職日や雇用保険の資格喪失日を確認できるか
空白期間に基本手当等の受給資格決定を受けていないか確認する
前職を退職してから転職先に入社するまでに空白期間がある場合は、その間に基本手当等の受給資格決定を受けていないかも確認が必要です。
厚生労働省のリーフレットでは、新たに被保険者となる前の被保険者期間に空白期間がある場合、その間に基本手当等の受給資格決定を受けていないことが条件の一つとして示されています。
⚠️ 退職後すぐに失業給付の手続きをする前に確認を
失業給付の手続きが育児時短就業給付金の支給再開に影響する可能性があります。退職後の空白期間がある場合は、自己判断で進める前にハローワークで確認しておくと安心です。
離職前に前職の書類・通知内容を控えておく
転職後に慌てないためには、前職を離れる前に必要になりそうな情報を整理しておくことが大切です。特に、雇用保険の番号、退職日、育児時短就業の開始日、勤務時間、賃金の変化が分かる資料は確認しやすい状態にしておきましょう。
ただし、必要書類は個別の状況や会社の手続きによって変わる可能性があります。実際に何を提出するかは、転職先の人事・労務担当とハローワークで確認してください。
求人票・労働条件通知書で見る時短勤務のチェック項目
育児時短就業給付金を考える場合、求人票では「時短勤務可」と書かれているかだけでなく、雇用保険・勤務時間・給与条件まで見ておく必要があります。
週所定労働時間と雇用保険の適用有無を確認する
求人票や労働条件通知書では、まず週所定労働時間を確認しましょう。育児時短就業給付金は雇用保険の給付なので、転職先で雇用保険の被保険者になる働き方かどうかが重要です。
求人票・労働条件通知書で見る項目
- 雇用形態:正社員、短時間正社員、契約社員、パートなど
- 週所定労働時間:20時間以上か
- 雇用期間:31日以上の雇用見込みがあるか
- 雇用保険:加入対象になっているか
- 始業・終業時刻:保育園送迎と両立できるか
- 残業:固定残業や突発的な残業の有無
- 給与:時短後の賃金や手当の扱い
労働条件通知書では、契約期間、就業場所、業務内容、始業・終業時刻、休日、賃金、社会保険や雇用保険の適用などを確認できます。厚生労働省の短時間労働者向け労働条件通知書の様式も、確認項目の参考になります。
短時間正社員・パート・シフト制では勤務時間の比較が重要
転職先で最初からパートタイムや短時間正社員として働く場合でも、育児時短就業として扱われる可能性があります。厚生労働省のリーフレットでは、新たに被保険者となった当初からパートタイムや短時間正社員であり、1週間当たりの所定労働時間が以前の事業所と比べて短い場合も含まれるとされています。
ただし、短い時間で働ければ何でもよいわけではありません。週20時間未満になって雇用保険の被保険者でなくなる場合は、給付金の対象外になる可能性があります。
確認しやすい働き方
週20時間以上で、雇用保険に加入し、時短勤務の内容や給与条件が書面で確認できる働き方。
注意が必要な働き方
週20時間未満、雇用期間が短い、シフトが不安定、雇用保険の加入有無が求人票だけでは分からない働き方。
給与条件・固定残業・在宅勤務・時差出勤もセットで見る
育児時短就業給付金を受けられるかだけで転職先を決めるのはおすすめしません。実際に長く働けるかどうかは、給与条件、残業、在宅勤務、時差出勤、急な休みに対する職場の運用なども関係します。
短時間勤務そのものは制度上利用できる場合でも、固定残業代がある求人や、繁忙期の残業が多い職場では、保育園の送迎や家庭の予定と合わない可能性があります。
扶養内パートや契約条件もあわせて確認したい場合は、関連記事の扶養内パートや契約条件の確認はこちらも参考にしてください。また、年収の目安や扶養との関係が気になる方は、扶養や年収の壁もあわせて確認すると、働き方を選びやすくなります。
面接・内定前後・入社後に確認する流れ
子育て中の転職では、給付金の条件だけでなく、実際に働ける時間や会社側の手続き対応も確認しておく必要があります。伝え方を整理しておけば、育児中であることを必要以上に不利に見せず、働ける条件を前向きに伝えやすくなります。
面接では「働ける条件」と「成果を出せる時間帯」を具体的に伝える
面接で育児中であることをどこまで伝えるかは悩みやすい点です。家庭の事情を細かく話しすぎる必要はありませんが、勤務時間や残業可否など、働く条件に直結する点は具体的に伝えた方が入社後のミスマッチを避けやすくなります。
たとえば、次のような形で整理しておくと伝えやすくなります。
- 勤務できる曜日・時間帯
- 保育園や学童の送迎で必要な退勤時間
- 残業が可能な日・難しい日
- 急な休みが必要になった場合の連絡方法
- 在宅勤務や時差出勤が可能か確認したいこと
ポイントは、「できないこと」だけでなく「この条件なら安定して働ける」と伝えることです。採用側も、勤務条件が具体的な方が配属や業務量を検討しやすくなります。
内定前後に人事へ確認したい質問リスト
内定前後には、給付金に関係する条件を人事・労務担当に確認しましょう。面接の場で細かい制度名まで確認しにくい場合は、内定後の労働条件確認のタイミングで聞く方法もあります。
具体的には、次のような質問が考えられます。
- この雇用条件で雇用保険の加入対象になりますか?
- 週所定労働時間は何時間として扱われますか?
- 短時間勤務制度や時差出勤制度は利用できますか?
- 育児時短就業給付金の申請に会社として対応できますか?
- 入社後の手続きは人事・労務のどの窓口に相談すればよいですか?
入社後は会社の担当部署とハローワークへの確認を早めに進める
育児時短就業給付金の申請は、原則として被保険者を雇用している事業主が行います。ただし、本人が希望する場合は、本人が自ら支給申請を行うことも可能です。
入社後に「会社が制度を知らなかった」「申請のタイミングを過ぎていた」とならないよう、早めに人事・労務担当へ確認しましょう。必要に応じて、事業所を管轄するハローワークにも確認しておくと安心です。
支給されない可能性があるケースと注意点
育児時短就業給付金は、子育て中の働き方を支える制度ですが、条件を満たさない場合は支給されないことがあります。転職活動中から注意点を知っておくと、入社後の想定違いを減らせます。
賃金が低下していない場合は不支給になることがある
育児時短就業給付金は、時短勤務によって賃金が低下することを前提にした給付です。厚生労働省の資料でも、当初の育児時短就業を開始する前と比較して賃金が低下していない場合などは、不支給となることがあるとされています。
そのため、転職先で給与が上がる場合や、時短勤務でも賃金が低下しない場合は、給付金が出ない可能性があります。支給額の計算は個別事情によって変わるため、具体的な金額は勤務先とハローワークで確認してください。
週20時間未満・雇用保険未加入の働き方には注意する
育児と仕事を両立するために、あえて勤務時間を短くしたい人もいると思います。ただし、週20時間未満などで雇用保険の被保険者にならない働き方を選ぶと、育児時短就業給付金の対象外になる可能性があります。
特にパート・シフト制・短時間勤務の求人では、「勤務時間が短い=両立しやすい」とだけ考えず、雇用保険に加入できるかも確認しましょう。
⚠️ 給付金だけで転職先を決めないことが大切です
給付金の対象になりそうかは重要ですが、実際に続けられるかは勤務時間、給与、通勤、在宅勤務、急な休みへの対応なども関係します。制度面と働きやすさの両方を確認しましょう。
申請期限・必要書類・支給可否は会社とハローワークに確認する
育児時短就業給付金には、申請期限や支給対象月の考え方があります。初回申請や2回目以降の申請については、会社側の手続きと本人側の確認が必要です。
制度の内容は公式資料で確認できますが、最終的な支給可否は個別の雇用条件や申請内容によって変わります。分からない点がある場合は、転職先の人事・労務担当と、事業所所在地を管轄するハローワークに確認してください。
よくある質問(FAQ)
育児時短就業給付金は転職先でも必ず受け取れますか?
必ずではありません。転職先で雇用保険の被保険者となり、2歳未満の子を養育するために時短勤務を行い、前職での受給状況や基本手当等の扱いなどの条件を満たす必要があります。
転職先でパートや短時間正社員になる場合も対象ですか?
対象になる可能性はあります。厚生労働省の資料では、転職先で当初からパートタイムや短時間正社員であり、1週間当たりの所定労働時間が以前の事業所より短い場合も育児時短就業に含まれるとされています。ただし、雇用保険の被保険者資格を満たす働き方か確認が必要です。
失業手当を受けた場合はどうなりますか?
前職と転職先の間に空白期間があり、その間に基本手当等の受給資格決定を受けた場合は、転職先での支給再開に影響する可能性があります。個別の扱いはハローワークで確認してください。
会社が申請してくれない場合はどうすればいいですか?
育児時短就業給付金の申請は原則として事業主が行いますが、本人が希望する場合は本人が自ら申請することも可能です。まずは会社の人事・労務担当に確認し、必要に応じて管轄のハローワークにも相談してください。
面接で育児中であることは伝えた方がいいですか?
家庭の事情を必要以上に細かく話す必要はありません。ただし、勤務可能時間、残業可否、送迎の都合など、働く条件に直結する点は内定前後までに具体的に確認しておくと、入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。
まとめ:育児時短就業給付金は転職先でも確認次第で使える可能性がある
この記事では、育児時短就業給付金を転職先でも受けられる可能性と、子育て中の転職で確認すべきポイントを解説しました。
- 転職先でも支給再開できる可能性がある:ただし、雇用保険の被保険者資格や前職での受給状況などの確認が必要です。
「転職しても必ず受け取れる」とは限らないため、早めに勤務先とハローワークへ確認しましょう。
- 求人票では勤務時間と雇用保険を確認する:週所定労働時間、雇用期間、雇用保険の加入有無、給与条件を見ておくことが大切です。
短時間勤務やパート転職では、働きやすさだけでなく雇用保険の対象になるかも確認しましょう。
- 内定前後に人事へ確認しておくと安心:時短勤務制度、申請対応、担当窓口を確認しておくと、入社後の手続きが進めやすくなります。
給付金の対象になるかどうかは個別条件で変わるため、書面と公式情報をもとに確認することが重要です。
育児中の転職は、不安なことが多い一方で、条件を整理して進めれば選択肢を広げることもできます。給付金だけに頼って判断するのではなく、時短勤務のしやすさ、雇用保険、給与、残業、家庭との両立まで含めて、自分が続けやすい働き方を確認していきましょう。
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