就労移行支援、就労継続支援A型/B型、就労定着支援は、名前が似ているため「何がどう違うのか分かりにくい」と感じやすい制度です。
- 就労移行支援・A型・B型・就労定着支援の基本的な違い
- 雇用契約の有無や一般就労との関係
- 自治体・相談支援事業所・ハローワークに確認する前の整理ポイント
こんな方におすすめの記事です
- 自治体やハローワークで就労支援の制度名を聞いたが、違いが分からない方
- 家族や支援者として、本人に合う働き方を一緒に整理したい方
- 一般就労を目指す前に、どの支援を確認すればよいか知りたい方
本記事では、就労移行支援・A型/B型・就労定着支援の違いを、初めて調べる方にも分かりやすく整理します。(制度に詳しくなくても大丈夫です!)
注:本記事は制度の違いを整理するための一般的な情報です。実際に利用できるサービス、費用、利用期間、手続きは、本人の状況や自治体、事業所によって異なります。最終的な判断は、市町村の障害福祉窓口、相談支援事業所、ハローワークなどで確認してください。
💡 就労支援サービスは「働くための道具箱」のようなもの
就労移行支援、A型、B型、就労定着支援は、どれか一つが一番優れているという関係ではありません。たとえば道具箱の中に、練習用の道具、実際に作業する道具、作業を続けるための道具があるように、それぞれ役割が違います。大切なのは、本人の希望や体調、今の準備状況に合う道具を確認することです。
就労移行支援・A型/B型・就労定着支援の違いを先に整理
まずは、4つの支援の役割を大まかに整理しましょう。厚生労働省では、就労系障害福祉サービスとして、就労選択支援、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労定着支援を示しています。詳しくは厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」でも確認できます。
4つの支援は「働く前・働く場・働いた後」で役割が違う
就労移行支援は、一般企業などで働くことを目指して準備する支援です。就労継続支援A型とB型は、一般企業で働くことが難しい場合に、働く機会や生産活動の機会を提供する支援です。就労定着支援は、就職した後に働き続けるための生活面・社会生活面の課題を支える支援です。
つまり、ざっくり分けると次のようになります。
- 就労移行支援:一般就労に向けた準備をする
- 就労継続支援A型:雇用契約を結んで働く機会を得る
- 就労継続支援B型:雇用契約によらず、自分のペースで働く機会を得る
- 就労定着支援:就職後に働き続けるための課題を相談する
比較表で見る目的・対象の目安・雇用契約の有無
制度名だけでは違いが見えにくいため、目的・雇用契約・一般就労との関係を表で確認してみましょう。
| サービス名 | 目的 | 対象の目安 | 雇用契約 | 一般就労との関係 | 確認したい注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 就労移行支援 | 一般就労に向けた訓練・準備 | 一般企業などで働くことを目指したい人 | 原則なし | 就職に向けた準備段階 | 利用期間、通所ペース、支援内容を確認する |
| 就労継続支援A型 | 雇用契約に基づく就労機会の提供 | 一般企業での雇用は難しいが、雇用契約に基づいて働ける可能性がある人 | あり | 働きながら一般就労を目指す場合もある | 仕事内容、勤務時間、賃金、労働条件を確認する |
| 就労継続支援B型 | 雇用契約によらない就労・生産活動の機会の提供 | 体調や障がいの状況に合わせて、自分のペースで働く機会を確認したい人 | なし | 本人の状況に応じて、次の働き方を考えることもある | 工賃、作業内容、通所日数、支援体制を確認する |
| 就労定着支援 | 就職後に働き続けるための相談・助言 | 就労移行支援などを利用して一般企業に就職した人 | 就職先との雇用契約あり | 就職後の定着を支える | 利用できる期間や支援範囲を確認する |
A型が上、B型が下という関係ではない
就労継続支援A型とB型は、名前にA・Bが付いているため、つい「A型の方が上」「B型の方が下」と考えてしまうかもしれません。しかし、これは上下関係ではありません。
大きな違いは、雇用契約に基づいて働くかどうかです。A型は雇用契約を結んで働く形が基本で、B型は雇用契約によらず、体調やペースに合わせて就労や生産活動の機会を得る形です。
⚠️ 制度名だけで決めつけないことが大切です
「一般就労できない人はB型」「A型に行けるならB型より良い」といった決めつけは避けましょう。本人の希望、体調、生活リズム、働く準備状況、地域の事業所情報を合わせて確認することが大切です。
就労移行支援は一般就労に向けた準備をするサービス
就労移行支援は、一般企業などで働くことを目指す人が、就職に向けて準備するためのサービスです。働く場所そのものというより、就職に向けた訓練や相談、職場に出る前の準備を行う場と考えると分かりやすいです。
就労移行支援で行うことの基本
就労移行支援では、就労に必要な知識や能力を高めるための訓練、生活リズムの確認、職場で必要になるコミュニケーション、就職活動に向けた準備などが行われます。
ただし、具体的なプログラムは事業所によって異なります。パソコン訓練に力を入れている事業所、軽作業や職場実習を重視する事業所、面接練習や応募書類の作成支援を行う事業所など、特色はさまざまです。
利用前に確認したい本人の希望と準備状況
就労移行支援を検討する場合は、「一般企業で働きたい」という希望だけでなく、今どのくらい準備が整っているかも確認しておくと相談しやすくなります。
相談前に整理しておきたいこと
- どのような働き方を希望しているか
- 週に何日くらい通所・勤務できそうか
- 体調の波や疲れやすい時間帯はあるか
- 得意な作業・苦手な作業は何か
- 人間関係、音、匂い、通勤などで不安なことはあるか
このような情報を先にメモしておくと、自治体や相談支援事業所、事業所見学の場で具体的に話しやすくなります。
就職活動・求人探しとの違い
就労移行支援は、求人を探してすぐ応募するためだけのサービスではありません。一般就労に向けて、働く準備を整えることが中心です。
求人情報を探したい場合や、実際に求職活動を進めたい場合は、ハローワークの障害者専門窓口なども確認先になります。就労移行支援とハローワークは役割が違うため、「準備」と「求人探し」を分けて考えると整理しやすくなります。
就労継続支援A型/B型は雇用契約の有無が大きな違い
就労継続支援A型とB型は、どちらも一般企業で働くことが難しい場合に、就労や生産活動の機会を提供するサービスです。大きな違いは、雇用契約を結ぶかどうかです。
A型は雇用契約に基づいて働く機会を得るサービス
就労継続支援A型は、一般企業での雇用は難しいものの、雇用契約に基づいて働くことが可能な人に、就労の機会を提供するサービスです。
雇用契約があるため、勤務時間、仕事内容、賃金、休日、労働条件などを確認することが重要です。A型事業所を検討するときは、作業内容だけでなく、無理なく通える時間帯か、体調に合う勤務日数か、支援体制が合っているかも見ておきましょう。
A型では雇用契約が関係するため、労働条件の確認も大切です。雇用契約や労働条件通知書の基本を確認したい方は、関連記事の雇用契約や労働条件通知書で確認したい基本も参考になります。
B型は雇用契約によらず、体調やペースに合わせて働く機会を得るサービス
就労継続支援B型は、雇用契約に基づいて働くことが難しい場合に、就労や生産活動の機会を提供するサービスです。
B型では雇用契約を結ばないため、賃金ではなく工賃という形で支払われるのが一般的です。作業内容や通所日数、支援体制は事業所によって違うため、「どのくらいのペースなら続けられそうか」を確認することが大切です。
たとえば、週5日通うことを目標にする人もいれば、まずは週1〜2日から生活リズムを整えることを優先する人もいます。どちらが正しいという話ではなく、本人の希望と体調に合わせて確認していきます。
賃金・工賃だけで選ばず、通いやすさや支援内容も確認する
厚生労働省の令和6年度工賃(賃金)の実績では、就労継続支援A型の平均賃金、就労継続支援B型の平均工賃が公表されています。
ただし、平均額だけで自分に合う事業所を判断するのはおすすめできません。地域、事業所、作業内容、勤務時間、利用日数によって実際の金額は変わります。また、金額が高くても体調に合わない働き方では続けにくいことがあります。
| 確認項目 | A型で確認したいこと | B型で確認したいこと |
|---|---|---|
| 働き方 | 雇用契約、勤務時間、労働条件 | 通所日数、作業時間、体調への配慮 |
| お金 | 賃金、交通費、社会保険の扱い | 工賃、支払い方法、作業量との関係 |
| 続けやすさ | 勤務ペース、支援体制、職場環境 | 無理のない通所、作業内容、人間関係 |
A型かB型かを考えるときは、「収入だけ」ではなく、「続けられる環境か」「本人の希望に合っているか」「支援内容が合うか」を合わせて確認しましょう。
就労定着支援は就職後の働き続ける不安を支えるサービス
就労定着支援は、就職前の準備ではなく、一般企業などに就職した後に働き続けるための支援です。就職した後に出てくる生活面・社会生活面の課題について、相談や助言を受けるための制度です。
就労定着支援は「就職後」に使う支援
就労移行支援などを利用して就職した後、働き始めてから生活リズムや体調、人間関係、職場との調整などで悩むことがあります。就労定着支援は、そのような就職後の課題を一人で抱え込まないための支援です。
就職はゴールではなく、働き続けるためのスタートでもあります。特に、通勤、勤務時間、疲労、服薬、家庭生活とのバランスなどは、働き始めてから初めて見えてくることもあります。
職場・生活・体調の変化を一人で抱え込まないための支援
就労定着支援では、働き続けるうえで起こりやすい生活面・社会生活面の課題について、相談しながら整理できます。
- 朝起きる時間や生活リズムが安定しない
- 疲れがたまり、勤務後の生活が崩れやすい
- 職場で困っていることをうまく伝えられない
- 体調の変化をどのタイミングで相談すればよいか分からない
- 家計、通院、服薬、家族との関係なども含めて不安がある
こうした課題は、本人の努力不足と決めつけるものではありません。働く環境と生活の両方を見ながら、必要な支援を確認していくことが大切です。
2026年時点では就労選択支援も相談時に確認したい
2026年時点では、就労系障害福祉サービスの中で「就労選択支援」という制度も示されています。就労選択支援は、本人の希望、就労能力、適性などを踏まえて、より良い働き方やサービス選択につなげるための支援です。
就労移行支援、A型、B型のどれを確認すればよいか迷う場合は、自治体や相談支援事業所で、就労選択支援の対象になるかも含めて確認するとよいでしょう。制度の最新情報は厚生労働省の就労支援対策ページを確認してください。
一般就労を目指す場合に確認したい判断基準
一般就労を目指す場合でも、すぐ求人に応募するのが合っている人もいれば、まずは生活リズムや働く準備を整えた方がよい人もいます。ここでは、相談前に整理しておきたい判断基準をまとめます。
まず整理したい4つの質問
どの支援を確認すればよいか迷ったら、次の4つをメモしてみてください。
この4つの質問に答えを出すだけでも、相談時に話す内容が整理されます。答えがはっきりしなくても問題ありません。「まだ迷っている」「家族と意見が違う」「体調に波がある」といった状態も、そのまま相談材料になります。
本人の希望・体調・生活リズムを相談前にメモする
支援サービスを考えるときは、制度名から先に選ぶより、本人の状態を整理する方が実用的です。
相談前の整理メモ
- 働きたい理由、働いてみたい職種や作業
- 避けたい環境や苦手な作業
- 通える曜日・時間帯・移動手段
- 体調が崩れやすい場面や疲れやすい時間帯
- 就職後に不安なこと、支援してほしいこと
一般就労を目指す場合は、求人市場の動きも気になるところです。障害者雇用の求人動向については、関連記事の障害者雇用率改正と求人増加の見方も参考にしてください。
また、職種や仕事内容を調べたい場合は、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」を使った調べ方も役立ちます。詳しくは職業情報を調べるときのjob tag活用方法で解説しています。
家族や支援者は本人の希望を置き去りにしない
家族や支援者が情報を集めることは大切ですが、本人の希望や不安を置き去りにしないことも同じくらい大切です。
「安定してほしい」「無理をしてほしくない」「できれば一般就労してほしい」といった家族側の思いがある一方で、本人には本人のペースや希望があります。制度を選ぶ場面では、本人が何を不安に感じ、どのような働き方を望んでいるのかを確認しながら進めましょう。
相談先・利用手続き・費用で確認しておきたいこと
就労系障害福祉サービスを利用する場合、記事だけで利用可否を判断することはできません。サービスの利用には、市町村による支給決定や、本人の状況に応じた確認が関係します。
福祉サービスの利用は市町村や相談支援事業所に確認する
障害福祉サービスの利用手続きでは、本人の心身の状況、サービスの利用意向、サービス等利用計画案、訓練・就労に関する評価などを踏まえて、市町村が支給決定を行います。詳しい流れは厚生労働省「サービスの利用手続き」で確認できます。
また、障害のある人に対する相談支援では、福祉に関するさまざまな問題について相談に応じ、必要な情報提供や障害福祉サービスの利用支援を行うとされています。相談支援の概要は厚生労働省「障害のある人に対する相談支援について」で確認できます。
求人や就職活動はハローワークの障害者専門窓口も選択肢
求人探しや就職活動を進めたい場合は、ハローワークの障害者専門窓口も確認先になります。ハローワークでは、障害のある方のための求人だけでなく、一般求人への応募、求人情報の提供、就職面接会などについても案内されています。
ハローワークインターネットサービスでは、障害者手帳を持っていない方も利用できると案内されています。詳細はハローワークインターネットサービス「障害のある皆様へ」を確認してください。
費用・利用期間・対象条件は個別確認が必要
障害福祉サービスには、所得に応じた月ごとの利用者負担上限額があります。厚生労働省は、障害福祉サービスの自己負担について、所得に応じて負担上限月額が設定され、ひと月に利用したサービス量にかかわらず、それ以上の負担は生じないと説明しています。詳しくは厚生労働省「障害者の利用者負担」を確認してください。
ただし、実際の負担額、交通費、昼食代、作業に必要な費用、利用できる期間などは、自治体や事業所、本人の状況によって変わる場合があります。見学や相談の際は、制度の名前だけでなく、具体的な費用と利用条件を確認しましょう。
⚠️ 利用条件は記事だけで判断しないでください
就労移行支援、A型、B型、就労定着支援の対象や利用手続きは、本人の状況や自治体の判断が関係します。この記事は制度理解の入り口として活用し、実際の利用可否は自治体窓口や相談支援事業所で確認してください。
よくある質問(FAQ)
就労移行支援とA型はどちらが一般就労に近いですか?
目的が違うため、単純にどちらが近いとは言い切れません。就労移行支援は一般就労に向けた準備をするサービスで、A型は雇用契約に基づいて働く機会を得るサービスです。本人の希望や準備状況に合わせて確認します。
A型とB型はどちらが上ですか?
A型とB型は上下関係ではありません。大きな違いは雇用契約の有無です。A型は雇用契約に基づいて働く形、B型は雇用契約によらず体調やペースに合わせて働く機会を得る形です。
就労定着支援は就職前にも使えますか?
就労定着支援は、基本的に就職後に働き続けるための生活面・社会生活面の課題を支えるサービスです。就職前の準備を確認したい場合は、就労移行支援や就労選択支援などを相談先で確認します。
障害者手帳がないと相談できませんか?
ハローワークの障害者向け支援では、障害者手帳がない方も利用できると案内されています。一方で、障害福祉サービスの利用条件は個別確認が必要です。市町村の障害福祉窓口や相談支援事業所で確認してください。
最初にどこへ確認すればよいですか?
障害福祉サービスの利用を考える場合は、市町村の障害福祉窓口や相談支援事業所が主な確認先です。求人探しや就職活動を進めたい場合は、ハローワークの障害者専門窓口も確認先になります。
まとめ:就労移行支援・A型/B型・就労定着支援は役割で整理する
この記事では、就労移行支援・就労継続支援A型/B型・就労定着支援の違いを解説しました。
- 就労移行支援:一般就労に向けて準備するための支援です。
求人応募の前に、働くための力や生活リズム、職場で必要な準備を整えます。
- 就労継続支援A型/B型:働く機会や生産活動の機会を得るための支援です。
A型は雇用契約に基づいて働く形、B型は雇用契約によらず自分のペースで働く形です。
- 就労定着支援:就職後に働き続けるための支援です。
生活リズム、体調、人間関係、職場との調整など、就職後の課題を相談できます。
- 就労選択支援:2026年時点で確認しておきたい新しい就労系サービスです。
本人の希望や適性を踏まえて、より合う働き方やサービス選択につなげるための支援です。
大切なのは、制度名だけで決めないことです。A型が上、B型が下という関係ではありません。本人の希望、体調、働く準備状況、通いやすさ、地域の事業所情報を整理しながら、自治体や相談支援事業所、ハローワークで確認していきましょう。
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| 項目 | 金額(年間) |
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