副業容認企業はどこまで増えた?64.3%から見る転職先の選び方

副業容認企業はどこまで増えた?64.3%から見る転職先の選び方

副業OKの会社は増えていると言われますが、転職先選びでは「本当にやりやすい会社か」まで見ないと判断を誤りやすくなります。2026年時点では、副業容認の数字は確かに上がっている一方、現場の運用にはまだ差があります。

  • 副業容認企業がどこまで増えたのかを、最新の公的資料ベースで把握できます。
  • 「副業可」と「実際に副業しやすい会社」の違いが分かります。
  • 転職先を選ぶときに確認したい副業ルールの見方を整理できます。

こんな方におすすめの記事です

  • 副業を始めたいが、会社のルールが気になって動けていない方
  • 転職先選びで「副業OK」をどこまで重視すべきか迷っている方
  • スポットワークや業務委託も副業として考えてよいのか整理したい方

本記事では、副業容認企業の最新動向と転職先で確認すべき副業ルールをわかりやすく解説します。(専門知識は不要です!)


副業容認企業はどこまで増えた?まず最新データを整理する

2025年時点では、副業を全面または条件付きで認める企業は増えています。ただし、制度の広がりと実際の運用は分けて見る必要があります。

2025年調査では副業容認率は64.3%まで上昇

厚生労働省「労働時間法制の具体的課題について」資料に掲載された2025年調査では、企業の副業容認状況(全面容認と条件付き容認の合計)は64.3%でした。2023年の60.9%から上がっており、「副業を認める企業は増えているのか」という疑問には、増加傾向にあると答えやすい状況です。

ここで押さえておきたいのは、この数字だけで「どの会社でも副業しやすくなった」とまでは言えないことです。制度として容認する会社が増えたことと、現場で実際に回っていることは、同じではありません。

副業容認の広がり

64.3%の企業が、全面または条件付きで副業を容認しています。

受け入れ側の広がり

29.1%の企業が、他社で雇用されている人材を副業・兼業で受け入れていると回答しています。

他社人材の受け入れも29.1%まで増えている

同じ資料では、副業する側だけでなく、他社人材を受け入れる側も広がっていることが示されています。2023年の24.4%から2025年は29.1%へ上がっており、副業・兼業は「個人の自由時間の使い方」だけでなく、企業側の人材活用の選択肢としても少しずつ浸透しています。

ただし「副業が普通になった」とまでは言い切れない

とはいえ、過半数が容認しているからといって、転職先選びで安心材料にしすぎるのは早計です。副業の見え方は、業種、職種、雇用形態、情報管理の厳しさ、繁忙期の有無によってかなり変わります。数字は追い風ですが、判断は会社ごとの運用まで見て行うのが安全です。

「副業可」と「実際にやりやすい」は別ものです

副業可と書かれていても、実際に利用しやすい会社とは限りません。実施者の有無や運用ルールの明確さまで確認することが大切です。

容認していても実施者を把握していない企業は少なくありません

同じ審議会資料では、「副業・兼業を認めており、実際に副業・兼業を行っている労働者がいる」企業は26.6%でした。一方で、「副業・兼業を認めているが、実際に副業・兼業を行っている労働者がいることは認識していない」企業は32.9%、「副業・兼業を認めていない」企業は36.2%です。

この並びを見ると、「副業可」の中にもかなり温度差があることが分かります。制度としては認めていても、申請が面倒、実例が少ない、上司ごとの理解に差がある、といった会社では、求人票の印象ほど副業しやすくない場合があります。

企業が副業をためらう最大要因は、本業への支障と管理負担です

副業を認めていない理由として最も多かったのは、「本業(貴社)での労務提供に支障が生じる懸念があるから」で79.6%でした。つまり、企業が気にしているのは思想として副業に反対かどうかよりも、本業への影響、情報漏えい、労働時間管理、健康管理といった実務面です。

求職者が見るべきは「制度の有無」より「運用の明確さ」です

転職先選びで重要なのは、「副業可」という看板があるかより、届出ルールが明確か、雇用型副業の労働時間申告をどう扱うか、競業や秘密保持の線引きが説明されているかです。制度の有無は入口、運用の明確さは実際の働きやすさを見分ける材料、と考えると判断しやすくなります。

副業OKでも注意すべきことはあります

副業OKでも、労働時間管理や就業規則の制限は残ります。特に雇用型の副業では、働ける時間の考え方を先に押さえておく必要があります。

⚠️ 副業可でも、自動的に何でもOKになるわけではありません

雇用型の副業では労働時間の通算が前提になります。加えて、就業規則上の届出、競業制限、秘密保持、本業への支障、健康確保は別の論点として残ります。求人票の一言だけで判断せず、就業規則や個別条件まで確認してください。

雇用型の副業は労働時間の通算が前提になります

厚生労働省の「副業・兼業における労働時間の通算について」では、企業に雇用される形で副業・兼業を行う場合、労働時間を通算すると整理されています。さらに、「副業・兼業時の労働時間の通算のポイント」では、1日8時間、1週40時間を超える法定外労働に当たる場合の考え方や、単月100時間未満、複数月平均80時間以内といった上限規制への留意点が示されています。

ここは見落とされやすいですが、雇用型の副業をするなら「空いた時間に少し働くだけ」とは言い切れません。会社側は管理が必要で、労働者側も自己申告を含めて勤務時間を把握する必要があります。

就業規則では競業、秘密保持、本業支障が重視されます

厚生労働省の副業・兼業ページでは、モデル就業規則とガイドラインが公開されており、2025年3月31日改定版のパンフレットも確認できます。モデル就業規則では、勤務時間外の他社業務を認めつつ、事前届出を求めたうえで、労務提供上の支障、企業秘密の漏えい、名誉や信用の毀損、競業による企業利益の侵害がある場合には、禁止または制限できる考え方が示されています。

副業を始めるときに最初に確認したいのは、「副業してよいか」ではなく、「何が禁止や制限の対象になるか」です。特に本業と近い業界での業務委託、顧客情報に触れる副業、深夜帯の長時間勤務は、引っかかりやすい論点です。

長く続けるなら、健康管理と申告のしやすさも重要です

厚労省資料では、副業・兼業を認めている企業の健康管理対応として、「副業・兼業先における労働時間を、労働者の自己申告により把握している」が36.7%で最多でした。制度があっても管理はまだ発展途上の会社が多いため、求職者側も「申請しやすいか」「上司に相談しやすいか」を軽視しない方が安心です。

転職先選びで、副業ルールの何を確認すればいいのか

転職時は「副業可」の表記だけで決めず、届出、競業、試用期間、労働時間申告まで確認すると判断しやすくなります。

なお、副業OKだけを絶対条件にすると応募先が絞られやすくなることもあります。給与や働き方全体とあわせて比較すると、選択肢を狭めにくくなります。

ステップ1: 求人票で「副業可」「兼業可」の表記を確認する
ステップ2: 面接や面談で届出制か、申請のタイミングを確認する
ステップ3: 就業規則で競業、秘密保持、試用期間中の扱いを見る
ステップ4: 雇用型副業なら労働時間申告の運用を確認する
ステップ5: 実際の実施例や受け入れ実績まで確認して判断する

求人票では「副業可」「兼業可」だけで判断しない

ハローワークの副業・兼業可能求人に関する資料でも、求人の記載ぶりを統一して検索しやすくする取組が進んでいます。これは探しやすさの面では前進ですが、表記だけで条件の細かさまでは分かりません。

たとえば「副業可」でも、事前申請必須、同業他社は禁止、試用期間中は不可、雇用型は要相談、といった条件が付くことは珍しくありません。求人票は入口、本当の判断はその先です。

面接やカジュアル面談で確認したい5項目

  1. 副業は届出制か、許可制か
  2. 雇用型副業と業務委託で扱いに差があるか
  3. 競業避止(本業と競合する仕事を避ける考え方)や秘密保持の対象範囲はどこまでか
  4. 試用期間中や入社直後の副業は認められるか
  5. 実際に副業している社員がいるか、制度説明が共有されているか

聞き方としては、「副業でしっかり稼ぎたいです」より、「制度理解のために届出や対象範囲を確認したいです」の方が自然です。条件確認の姿勢で聞くと、印象を悪くしにくくなります。

入社後に困りにくい会社の見分け方

副業しやすい会社は、単に寛容な会社というより、ルールがはっきりしている会社です。届出先が明確、説明資料がある、過去の運用例がある、労働時間把握の考え方が共有されている。このあたりが見える会社は、入社後に「聞いていなかった」が起こりにくくなります。

スポットワークや業務委託も、副業として同じように考えてよいのか

同じ副業でも、雇用契約で働くスポットワークと業務委託では扱いが異なります。名前ではなく契約形態で考えると整理しやすくなります。

厚生労働省が2025年に整理したスポットワークは「雇用型副業」として考えやすいです

厚生労働省のスポットワーク留意事項ページでは、この文脈でのスポットワークを、雇用仲介アプリ等を利用し、短時間・単発で働く雇用契約として整理しています。つまり、少なくとも雇用契約で行うスポットワークは、副業の一形態として考えやすく、労働時間管理の論点ともつながりやすいです。

業務委託は同じ副業でも、労働時間通算の考え方が同じではありません

一方で、フリーランスや業務委託で行う副業は、雇用型副業とまったく同じ扱いではありません。厚労省の労働時間通算資料でも、企業に雇用される形の副業と、自ら事業者として行う副業は分けて整理されています。だからこそ、「業務委託なら何も気にしなくていい」とも、「雇用型と全部同じ」とも言えません。

混同しやすいポイントを先に整理しておきましょう

  • 業務委託でも、就業規則上の届出義務がある会社はあります。
  • 本業と競合する内容や、秘密情報に触れやすい内容は避けた方が安全です。
  • 単発でも深夜帯や長時間になれば、本業への支障という問題は残ります。

つまり、スポットワークか業務委託かという名前よりも、契約形態、労働時間、競業性、本業への影響を分けて見ることが大切です。

2026年の働き方として、副業容認をどう受け止めるべきか

2026年の転職では、年収だけでなく副業ルールも労働条件の一部として見るのが現実的です。判断基準は「自由さ」より「ルールの明確さ」に置くと失敗しにくくなります。

副業は「収入アップ策」であると同時に、キャリアの選択肢でもあります

ここまで見ると、副業容認の広がりは、単なる流行ではなく、働き方の選択肢が増えている流れとして捉えやすくなります。ただし、求職者が見るべきなのは「副業できるかどうか」だけではありません。副業で得た経験を本業に返せるか、将来的に転職やキャリアの広がりにつながるかも重要です。

副業しやすい会社は、「自由な会社」より「ルールが明確な会社」です

副業容認率64.3%という数字は心強い一方で、実際に副業者がいる企業は26.6%にとどまります。この差を考えると、転職先選びでは「副業OK」と書いてある会社より、「副業ルールを説明できる会社」を高く評価した方が失敗しにくいはずです。

転職では年収だけでなく、働き方条件も一緒に比べましょう

副業を重視するなら、給与、残業、休日だけでなく、副業の届出ルール、競業制限、労働時間申告の運用、実施社員の有無まで含めて比較するのがおすすめです。転職市場全体の地合いを見たい方は2026年の転職市場の全体像はこちら、年収面も含めて考えたい方は2026年春闘の賃上げ動向も確認すると、判断材料を広げやすくなります。

よくある質問(FAQ)

副業禁止の会社は違法ですか?

一律に違法とはいえません。副業をどこまで制限できるかは、就業規則の内容や制限理由の妥当性によって変わるため、まずは自社規則を確認してください。

面接で副業について聞くと不利になりますか?

不利になるとは限りません。収入目的だけでなく、制度確認として「届出の有無や対象範囲を知りたい」と聞くと自然です。

業務委託なら労働時間通算は不要ですか?

雇用型の副業とは扱いが異なりますが、就業規則上の申告要否、競業避止、秘密保持は別に確認が必要です。

入社直後から副業してもいいですか?

会社ごとの差が大きいです。試用期間中の扱い、入社後すぐの申請可否、既存社員の運用実績を確認すると判断しやすくなります。

スポットワークは会社員の副業として一般的ですか?

選択肢の一つですが、雇用契約なら労働時間管理や申告の問題が出やすいため、単発だから大丈夫と決めつけない方が安全です。

まとめ:副業容認企業は増えているが、見るべきは運用です

この記事では、副業容認企業の増加と、転職先選びで確認したい副業ルールを解説しました。

  • 副業容認は広がっています。2025年調査では、全面容認と条件付き容認を合わせて64.3%まで上がっています。

    ただし、数字の伸びだけで「どの会社でも副業しやすい」とは言い切れません。

  • 制度と実態には差があります。実際に副業している労働者がいる企業は26.6%で、容認していても運用が進んでいない会社はあります。

    求人票の一言ではなく、実施例や届出フローまで見て判断するのが近道です。

  • 雇用型副業では労働時間通算が重要です。1日8時間、1週40時間を超える働き方や、上限規制への配慮は見落とせません。

    就業規則、自己申告、健康管理のしやすさまでセットで確認してください。

  • 転職では年収と働き方条件を一緒に比べましょう。副業可だけでなく、競業制限、秘密保持、試用期間中の扱いも重要です。

    副業しやすい会社は、自由な会社というより、ルールを言語化できる会社です。

副業を無条件で推す必要はありませんが、働き方の選択肢として見る価値は確実に高まっています。転職先を選ぶときは、「副業OK」の一言で終わらせず、運用の明確さまで確認していきましょう。

副業とあわせて、2026年の転職市場や賃上げ動向まで見ておくと、条件比較の精度が上がります。

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