リ・スキリング等教育訓練支援融資とは?給付金との違いと返済の注意点

リ・スキリング等教育訓練支援融資とは?給付金との違いと返済の注意点

学び直しをしたいと思っても、受講費用や訓練中の生活費が不安で一歩を踏み出しにくいことがあります。そんなときに目にする制度のひとつが、リ・スキリング等教育訓練支援融資です。

  • リ・スキリング等教育訓練支援融資がどのような制度か
  • 教育訓練給付金・職業訓練受講給付金との違い
  • 返済や返済免除、ハローワークで相談する前の確認事項

こんな方におすすめの記事です

  • 退職後や転職前に学び直しを考えている方
  • 受講費用や訓練期間中の生活費に不安がある方
  • 給付金と融資の違いが分からず、制度選びで迷っている方

本記事では、リ・スキリング等教育訓練支援融資の概要と、教育訓練給付金・職業訓練受講給付金との違いをわかりやすく整理します。(制度を初めて調べる方にも分かるように解説します)

注:この記事は制度の概要を整理するものであり、個別の利用可否・融資審査・返済免除の可否を保証するものではありません。最新情報や個別条件は、必ずハローワークや労働金庫などの公式窓口で確認してください。


⚠️ 最初に確認したいこと

リ・スキリング等教育訓練支援融資は、給付金ではなく融資制度です。原則として、借りたお金は利息を含めて返済する必要があります。一定の要件を満たした場合に債務残高の一部返済免除が案内されていますが、最初から免除を前提に借入額を決めるのは避けましょう。

リ・スキリング等教育訓練支援融資とは?まず給付金との違いを押さえる

リ・スキリング等教育訓練支援融資は、スキルアップや再就職、転職を目指して教育訓練を受ける方に向けて、教育訓練費用や訓練期間中の生活費を融資する制度です。

厚生労働省の公式ページでは、生活面の不安なく訓練を受けられるよう、「教育訓練費用」と「教育訓練期間中の生活費」を融資する制度として案内されています。詳しい制度内容は、厚生労働省「リ・スキリング等教育訓練支援融資」で確認できます。

この制度は「もらうお金」ではなく「借りるお金」

まず大事なのは、リ・スキリング等教育訓練支援融資を「お金がもらえる制度」と考えないことです。

教育訓練給付金や職業訓練受講給付金は、一定の要件を満たすと支給される制度です。一方、リ・スキリング等教育訓練支援融資は、名称の通り「融資」です。つまり、金融機関からお金を借りる制度であり、原則として返済が必要です。

学び直しを支える制度ではありますが、家計の負担を一時的に軽くする代わりに、将来の返済義務が発生する点を必ず押さえておきましょう。

教育訓練費用と訓練中の生活費が対象になる

この融資では、教育訓練にかかる費用だけでなく、訓練期間中の生活費も対象になります。

たとえば、受講料、入学金、教科書代、実習費、学用品代などが教育訓練費用として考えられます。また、訓練を受ける期間中に収入が減る場合、生活費の一部を融資で補うことも想定されています。

ただし、対象になる費用や金額には条件があります。すでに支払った費用が対象外になる場合もあるため、講座へ申し込む前にハローワークで確認することが重要です。

返済免除はあるが、最初から免除前提で考えない

厚生労働省は、訓練を修了した方が一定の要件を満たした場合、債務残高の一部返済免除があると案内しています。

ただし、これは「必ず免除される」という意味ではありません。訓練修了、就職、継続雇用、賃金上昇など、複数の条件を満たす必要があります。

返済免除は制度上の大きな特徴ですが、借入を検討するときは「免除されなくても返済できるか」を先に考えることが大切です。

教育訓練給付金・職業訓練受講給付金との違い

学び直しに関する制度は名前が似ているため、混同しやすいです。ここでは、リ・スキリング等教育訓練支援融資、教育訓練給付金、職業訓練受講給付金の違いを整理します。

教育訓練給付金は、指定講座の費用の一部が支給される制度

教育訓練給付金は、一定の要件を満たす方が厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講・修了した場合に、教育訓練経費の一部が支給される制度です。

厚生労働省では、教育訓練給付金について、専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練の3種類があると案内しています。制度の詳細は、厚生労働省「教育訓練給付金」で確認できます。

教育訓練給付金は「費用の一部が支給される制度」であり、融資ではありません。ただし、対象講座や雇用保険の加入状況など、利用には条件があります。

職業訓練受講給付金は、要件を満たす人の生活支援給付

職業訓練受講給付金は、求職者支援制度の中で、一定の要件を満たす方が職業訓練を受講しながら生活支援を受ける仕組みです。

厚生労働省は、求職者支援制度について、再就職・転職・スキルアップを目指す方が月10万円の生活支援の給付金を受給しながら、無料の職業訓練を受講する制度として案内しています。詳しくは、厚生労働省「求職者支援制度のご案内」を確認してください。

職業訓練受講給付金について詳しく知りたい方は、関連記事の職業訓練受講給付金の詳しい条件を確認するも参考になります。

3制度の違いを表で整理する

3つの制度は、目的もお金の性質も異なります。まずは「もらえる制度なのか、借りる制度なのか」を分けて考えると整理しやすくなります。

項目リ・スキリング等教育訓練支援融資教育訓練給付金職業訓練受講給付金
目的教育訓練費用や訓練中の生活費を借りて学び直しを支える指定講座の受講費用の一部を支給する職業訓練中の生活を支援する
お金の性質融資給付給付
返済の有無原則返済が必要原則返済不要原則返済不要
主な対象求職申込みをし、ハローワークが支援の必要性を認めた方など雇用保険の加入状況など一定要件を満たす方雇用保険を受給できない求職者など、一定要件を満たす方
相談先ハローワーク、労働金庫ハローワークハローワーク
確認すること対象者、対象訓練、融資額、金利、返済、返済免除対象講座、受給資格、支給割合、申請期限収入・資産要件、出席要件、訓練コース
注意点返済免除は条件付き。労働金庫の審査もある受講前の手続きが必要な場合がある給付要件を満たさない場合がある

リスキリング支援制度全体を広く比較したい方は、関連記事のリスキリング支援制度全体の違いを確認するもあわせて確認すると、制度の全体像をつかみやすくなります。

対象になる人・訓練・融資内容を確認する

リ・スキリング等教育訓練支援融資は、学び直しを考えているすべての人が自動的に利用できる制度ではありません。対象者、対象訓練、融資内容には条件があります。

対象者はハローワークで複数条件を確認される

厚生労働省の公式情報では、融資を利用できる方の主な要件として、ハローワークに求職の申込みをしていること、雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと、労働の意思と能力があることなどが挙げられています。

また、訓練開始時点で過去に3年以上の就業経験があること、訓練開始前にキャリアコンサルティングを受けてジョブ・カードを作成していること、年齢要件を満たすことなども確認されます。

対象者として確認される主なポイント

  • ハローワークに求職申込みをしているか
  • 雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者ではないか
  • 働く意思と能力があるか
  • ハローワークが職業訓練などの支援を必要と認めるか
  • 返済意思があり、過去3年以上の就業経験を確認できるか
  • 訓練開始前にキャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードを作成しているか

これらはあくまで主な確認項目です。個別の状況によって判断が変わる可能性があるため、必ずハローワークで確認しましょう。

対象訓練は1か月以上4年以内が基本

融資対象となる教育訓練は、原則として訓練期間が1か月以上4年以内のものです。

対象候補には、学校教育法に基づく大学、大学院、短期大学、高等専門学校、専修学校、各種学校が提供する教育訓練、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練、求職者支援訓練や公共職業訓練などがあります。

ただし、制度開始後にハローワークで職業相談を受けて申し込んだものが融資対象と案内されています。すでに講座へ申し込んだ後の場合、対象にならない可能性があるため注意が必要です。

融資額・金利・生活費の考え方

厚生労働省の公式情報では、融資上限額について、教育訓練費用は年間120万円、生活費は年間120万円(月10万円×12か月)を対象に、最大2年間分と案内されています。

ただし、年収200万円未満の方、離職者、収入証明がない方は最大1年間分とされています。融資利率は年2%の固定金利で、信用保証率年0.5%を含むと案内されています。

⚠️ 必要額だけを借りる意識が大切です

融資を受ける額は、将来返済が可能であり、かつ本当に必要な額にすることが大切です。上限額まで借りられる可能性があるとしても、返済計画を考えずに借入額を大きくするのは避けましょう。

返済免除はある?条件と注意点を整理する

リ・スキリング等教育訓練支援融資には、一定の要件を満たした場合に債務残高の一部返済免除を受けられる仕組みがあります。ただし、免除は自動ではなく、条件付きです。

返済免除には訓練修了・就職・賃金上昇などの条件がある

厚生労働省の公式情報では、一部返済免除の条件として、対象訓練を修了すること、訓練終了日の翌日から1年以内に雇用保険被保険者として就職し、1年以上継続的に雇用されること、訓練修了後の賃金が訓練開始前より5%以上上昇することなどが示されています。

つまり、訓練を受けただけで返済免除になるわけではありません。訓練後の就職や収入の変化まで含めて確認されます。

免除額は残債務の一部で、上限もある

返済免除額については、賃金が5%上昇したときに残債務の30%、賃金が10%上昇したときに残債務の50%が免除されると案内されています。

ただし、それぞれ上限額があり、貸付時点の年収が500万円以上の場合は条件を満たしても対象外とされています。

賃金上昇の条件返済免除の内容注意点
訓練修了後の賃金が5%以上上昇残債務の30%が免除対象上限額あり。その他条件も満たす必要がある
訓練修了後の賃金が10%以上上昇残債務の50%が免除対象上限額あり。貸付時点の年収条件にも注意

具体的な返済免除の可否や計算方法は、必ず公式情報と窓口で確認してください。

対象外になるケースを先に確認する

返済免除を検討する場合は、免除される条件だけでなく、対象外になる可能性も確認しておく必要があります。

たとえば、貸付時点の年収が500万円以上の場合は、他の条件を満たしても返済免除の対象外と案内されています。また、融資対象となる教育訓練と、返済免除の対象となる教育訓練は範囲が異なる場合があるため注意が必要です。

返済免除は、学び直し後の就職や賃金上昇を後押しする仕組みではありますが、「免除されるはず」と見込んで借入を決めるのは危険です。返済免除が受けられない場合でも返済できるかを、先に確認しておきましょう。

ハローワークで相談する前に確認したい手順

リ・スキリング等教育訓練支援融資を検討する場合、最初の相談先はハローワークです。講座申込みや支払いの前に、制度の対象になるかを確認することが重要です。

最初に「リ・スキリング等教育訓練支援融資を相談したい」と伝える

厚生労働省の制度活用の流れでは、教育訓練開始前に求職申込みと初回職業相談を行うことが示されています。

ハローワークの受付では、「リ・スキリング等教育訓練支援融資を受けたい」「制度の対象になるか相談したい」と伝えると、話が進みやすくなります。

制度説明、対象者の確認、キャリアコンサルティングの案内などを受けながら、受講を希望する訓練が制度の対象になるかを確認していきます。

キャリアコンサルティングとジョブ・カード作成が必要になる

この制度では、訓練開始前にキャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードを作成していることが要件に含まれています。

ジョブ・カードは、これまでの職務経験やスキル、今後のキャリアの方向性を整理するためのツールです。単に書類を作るだけでなく、「なぜその訓練を受けるのか」「学んだ後にどう働きたいのか」を整理する役割があります。

ジョブ・カード制度については、厚生労働省のジョブ・カード制度総合サイトで確認できます。

労働金庫の審査・来店手続きもある

ハローワークでの手続きが終わると、融資実施機関である労働金庫での手続きへ進みます。

ここで注意したいのは、ハローワークの審査を通過しても、労働金庫の金融機関としての審査に通らない場合があることです。

ステップ1:ハローワークで求職申込み・初回職業相談を行う
ステップ2:キャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードを作成する
ステップ3:ハローワークで融資の申請書類を作成・提出する
ステップ4:労働金庫の窓口で融資手続きを行う
ステップ5:訓練受講中も指定来所日に状況報告を行う

また、訓練開始前の手続きには1か月半程度かかることがあると案内されています。訓練開始直前に相談すると、教育訓練費用の融資が間に合わない可能性があります。

借りる前に考えたいリスクと判断基準

リ・スキリング等教育訓練支援融資は、学び直しの選択肢を広げる制度です。ただし、借入である以上、利用前にリスクと返済可能性を確認する必要があります。

給付金や無料訓練で足りるかを先に確認する

まず考えたいのは、融資を利用する前に、給付金や無料訓練で対応できないかという点です。

教育訓練給付金の対象講座であれば、受講費用の一部が支給される可能性があります。求職者支援制度の対象であれば、無料の職業訓練や職業訓練受講給付金を利用できる場合もあります。

在職中に学び直しを検討している方は、関連記事の在職中に学び直す制度も確認するも参考になります。

返済免除を前提に借入額を決めない

返済免除の仕組みがあると聞くと、「あとで一部免除されるなら多めに借りてもよいのでは」と感じるかもしれません。

しかし、返済免除には訓練修了、就職、継続雇用、賃金上昇などの条件があります。将来の就職先や賃金は、訓練開始時点では確定していません。

そのため、借入額を決めるときは、次の順番で考えるのがおすすめです。

  1. 受けたい訓練に本当に必要な費用を確認する
  2. 給付金や無料訓練で補える部分がないか確認する
  3. 生活費として不足する金額を計算する
  4. 返済免除がなくても返せる金額か確認する
  5. ハローワークと労働金庫で最新条件を確認する

途中退校・返済遅延・虚偽申請のリスクを知っておく

融資を受けた後に訓練を途中退校した場合は、速やかにハローワークへ届け出たうえで、労働金庫で契約変更の手続きが必要になると案内されています。

また、約定どおりに返済されない場合、個人信用情報機関に遅滞状態が登録され、他の金融機関を利用するときに不利益を受ける可能性があります。

申請書類に虚偽記載があり、不正利用が発覚した場合は、債務残高の全額を一括返済しなければならない可能性や、処罰につながる可能性もあります。

⚠️ 借入前の最終チェック

リ・スキリング等教育訓練支援融資は、学び直しを支える制度ですが、借入であることに変わりはありません。対象者・対象訓練・金利・返済条件・返済免除の条件は、必ずハローワークや労働金庫で最新情報を確認しましょう。

よくある質問(FAQ)

リ・スキリング等教育訓練支援融資はお金がもらえる制度ですか?

いいえ。リ・スキリング等教育訓練支援融資は、給付金ではなく融資制度です。原則として、借りたお金は利息を含めて返済する必要があります。

教育訓練給付金と何が違いますか?

教育訓練給付金は、指定講座を受講・修了した場合に教育訓練経費の一部が支給される制度です。一方、リ・スキリング等教育訓練支援融資は、教育訓練費用や生活費を借りる制度です。お金の性質が大きく異なります。

返済免除されるなら、実質的に給付金と同じですか?

同じではありません。返済免除は、訓練修了後の就職や継続雇用、賃金上昇など一定の条件を満たした場合の一部免除です。最初から返済免除を前提に借入額を決めるのは避けましょう。

すでに講座へ申し込んだ後でも対象になりますか?

制度開始後にハローワークで職業相談を受けて申し込んだものが対象と案内されています。すでに申込み済みの場合は対象外となる可能性があるため、早めにハローワークで確認してください。

まずハローワークでは何を相談すればよいですか?

窓口で「リ・スキリング等教育訓練支援融資を検討している」と伝え、対象者要件、受けたい訓練が対象になるか、必要書類、相談開始のタイミングを確認しましょう。

まとめ:リ・スキリング等教育訓練支援融資は給付金との違いを理解して検討しよう

この記事では、リ・スキリング等教育訓練支援融資の概要と、教育訓練給付金・職業訓練受講給付金との違いを解説しました。

  • リ・スキリング等教育訓練支援融資は融資制度です:教育訓練費用や訓練期間中の生活費を借りる制度であり、原則として返済が必要です。

    「お金がもらえる制度」ではないため、給付金と混同しないようにしましょう。

  • 教育訓練給付金・職業訓練受講給付金とはお金の性質が違います:教育訓練給付金や職業訓練受講給付金は、一定要件を満たした場合の給付制度です。

    一方、リ・スキリング等教育訓練支援融資は借入であり、返済計画が必要です。

  • 返済免除は条件付きです:訓練修了、就職、継続雇用、賃金上昇などの条件を満たした場合に、債務残高の一部免除が案内されています。

    必ず免除されるとは限らないため、返済免除を前提に借入額を決めないことが大切です。

  • まずはハローワークで対象者・対象訓練を確認しましょう:求職申込み、職業相談、キャリアコンサルティング、ジョブ・カード作成などの流れがあります。

    訓練開始直前では手続きが間に合わない可能性があるため、早めの相談が安心です。

学び直しは、これからの働き方を見直す前向きな選択肢です。ただし、融資を利用する場合は、制度のメリットだけでなく返済や審査の条件も確認しておく必要があります。

受けたい訓練、必要な費用、使える給付制度、返済可能性を整理したうえで、ハローワークに相談してみましょう。

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